木村屋です。
先日、以下の様な記事を書きました。

ラグナロクオンラインのサーバの費用についての考察(2015年10月25日暫定版) : ラグナロクオンラインの終焉を見届けるブログ
http://ragnarok-last-days.blog.jp/archives/800951.html

この記事の公開後、Twitterで日本ヒューレット・パッカード社のお客様事例にラグナロクオンラインのサーバについて、資料があるというご指摘をいただき、それを確認致しました。

お客様事例:ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社様 | 日本ヒューレット・パッカード
http://h50146.www5.hp.com/enterprise/casestudy/gungho/
http://h50146.www5.hp.com/enterprise/casestudy/gungho/pdfs/gungho.pdf

この資料の中で、ガンホー・オンライン・エンターテイメント社が2010年秋、ラグナロクオンラインの配信システムの刷新を計画し、2011年にヒューレット・パッカード社の統合インフラソリューション「HP CloudSystem Matrix」を使い、インフラの統合を行っていた事が分かりました。
この資料からは、ラグナロクオンラインで使われているサーバがヒューレット・パッカード社のHP ProLiant BL460c G7であり、サーバの台数が112台であること、ラックが4本であること、ラグナロクオンラインのサーバの仮想化の為にVMWare ESXiを使用していること、データベースサーバはワールド毎に1台存在し、その他に「ラグナロクオンライン共通DB」というラグナロクオンラインで共通のデータ(恐らくはショップポイントやプレイ利用権などの課金についての情報など)を管理するデータベースが存在することなど、非常に多くのことを読み取ることが出来ます。
また、「2010年の時点で運用していたサーバーはトータルで600台弱。ラックは25本にも達していて、サーバーごとに接続されたローカルストレージと併せての運用保守は相当な負担だった」という記述もあり、2010年以前のラグナロクオンラインのサーバ環境についても具体的な記述があります。

HP CloudSystem Matrix | 日本ヒューレット・パッカード
http://h50146.www5.hp.com/products/servers/bladesystem/matrix/

HP CloudSystem Matrix - :ITpro Active
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/ActiveWP/20120718/409721/

更にラグナロクオンラインの1つのワールド毎に3台のVMWare ESXiがサーバとして使用され、1台のVMWare ESXiで5台の仮想マシンが立っている事など、インフラ統合後のラグナロクオンラインのサーバ環境について非常に具体的な事が分かります。
HP CloudSystem Matrixエンクロージャーが7つ使っているとの記述もありますが、これは2012年までのサーバ統合前の各ワールドのグループを指しているものと思われます。PKサーバ、テスト用のサーバ、RJC用のイベント用のサーバなどを管理するグループを合計した数字が7という事なのではないかと推測します。
これらの情報を総合すれば、より精度の高い見積もりを出すことが可能ではないかと考えます。
今後は上記の資料を参考にラグナロクオンラインのサーバの費用についての考察を行いたいと思います。

……と、ここまで書いてきましたが、正直な所、この資料の「効果と今後の展望」の箇所で下記のような記述を見つけ、少しやる気を失っています。

「そして、何よりHP CloudSystem Matrixの導入効果を如実に表しているのが、データセンター運用コストと電力消費量の劇的な削減である。データセンター運用コストに関しては、ラック1本あたりの月額コストを20万円とした場合、25本のラックで構成されていた旧システムの向こう5年間の運用コストは3億円となる。これが、HP CloudSystem Matrixによってラックが4本に集約されたことで、5年間の運用コストは4,800万円となり、2億5,200万円のコスト削減(約84%削減)が図られた計算になる。森田氏は、HP CloudSystem Matrixが顕著な投資対効果をもたらしたことを高く評価する」

インフラに関しては全くの素人である私がいい加減な当て推量で記事を書くまでもなく、答えが書かれていました。
この記述を元に計算すると、ラグナロクオンラインの毎月の運用コストは80万円となり、別途、データセンターなどの費用が必要と考えても、200万円以上のお金が必要とは考えられないと思っております。
先日の記事でも書きましたが、ラグナロクオンラインに土曜の夜にアクセスしているユーザーが1万人と考えて、月額の利用料金が1500円とすると毎月1500万円の収入がある事になります。
勿論、アイテム課金などで入ってくる収益も別途存在するものと考えられます。
2011年の段階で多額の投資を行い、ここまで運用コストが圧縮できているのなら、サーバを運用するエンジニア、ユーザーのサポートを行うサポートセンター、ゲームマスターの職務に従事するオペレーター、ラグナロクオンラインのクライアントとサーバの開発を行う開発者などの職務に従事する方々の人件費、ラグナロクオンラインのクライアント、サーバの保守、改修に必要な費用を見積もった上で人件費を含めた運用コストを算出したとして、恐らくはラグナロクオンラインのサービスは成り立つのではないかという印象を今は持っています。
今は2015年ですから、サーバの減価償却に5年掛かると考えると、今年で終わります。しかし、現在もラグナロクオンラインに「生体工学研究所拡張アップデート:獄」など、アップデートの為の開発が継続している状況を考えるとインフラの更新は必要に応じて随時行われる状況にあると思われます。
インフラと開発にかかるであろう費用を算出し、ラグナロクオンラインというサービスが経済的に成り立つのかを考察することがこのブログの大きな目的でしたが、上記の通り、恐らくは成り立つものと思われます。
仮に今以上にユーザーが減った、将来減る見込みがあるとすれば、サーバの統合などを行い、縮小してサービスを継続すればいいだけの話ではないかと思います。
また、同じくガンホーが運営するMMORPGであるエミル・クロニクル・オンラインは2009年に基本プレイ料金を無料にし、アイテム課金制に移行する事でサービスを継続しているという前例もあります。
ユーザー数が著しく減るのなら、基本プレイ料金を無料にし、アイテム課金制に移行することも考えられます。エミル・クロニクル・オンラインはその方針で5年以上も運営を成り立たせてきたという実績もあります。
この様な背景を考えると、少なくとも、1~2年以内にラグナロクオンラインのサービスが終了するといった状況にはないと考えております。

ただし、これ以外にもラグナロクオンラインについて書きたいことはいくつかあるので、ブログの更新を止めることありません。
また、ラグナロクオンラインの開発費に関する考察を含めた運用コストに関する記事は別途書きたいと思っております。
ブログのタイトルに関しては多分、変更します。具体名の候補などは思い付かないので、しばらくは(仮)を付けることにしました。

今回の記事はここまでで終わりとします。
以上、よろしくお願い致します。

2015年10月26日20時42分追記
よくよく「効果と今後の展望」に書かれた記述を見ると物理サーバやOSなどにかかる費用ではなく、純粋にデータセンターを借りる際の費用について語っているようにも読めます。
この点については別に考察する必要があるかもしれません。